米国を代表する重機系重仮設・土木ゼネコンのTutor Periniが、2026年第1四半期決算説明会で驚異的な数字を公表した。受注残は約198億ドル(約3兆円)に達し、複数のメガプロジェクト入札も控える。海外建設プロジェクトの最新動向として、日本の建設業・重機業界にも直結するトレンドを読み解く。

受注残198億ドル——Tutor Periniが語る2026〜27年「爆発的成長」の全容

2026年5月8日の決算説明会で、ロサンゼルス本拠のTutor Perini(ティーチャー・ペリーニ)は、現時点の受注残だけで2026〜27年が「blowout(爆発的)」な年になると断言した。ゲーリー・スモーリーCEOは「たとえ今後一切新規受注がゼロでも、現在のポートフォリオだけで記録的な2年間になる」と強調している。

具体的な進行中・入札予定の案件は圧巻だ。ニューヨーク州のハドソントンネルプロジェクト(総事業費160億ドル)や、総事業費2,310億ドルという世界最大級のインフラ工事であるカリフォルニア高速鉄道プロジェクトの一部区間を既に施工中。さらに、総事業費70億ドルのペンステーション再開発(ニューヨーク市)、ミネソタ州のI-535ラトニック橋梁プロジェクト(14億ドル)、インディアナ〜ケンタッキー州境のオハイオ川を渡るI-69 ORXセクション2(約10億ドル)など、複数の超大型インフラ工事への入札を積極的に進めている。これら案件には大型クレーンや油圧ショベル、ブルドーザー、ホイールローダーといった重機が大量に投入される大規模土木工事が中心であり、工事現場の規模感は日本の常識をはるかに上回る。

なぜ今、米国でメガプロジェクトが急増しているのか

背景にあるのは、2021年に成立したインフラ投資雇用法(IIJA)だ。総額1.2兆ドルの連邦予算が道路・橋梁・鉄道・水道・デジタルインフラへ投じられており、その執行フェーズが2025〜27年にピークを迎えている。しかし、人手不足と原材料高騰で施工キャパシティが逼迫しているため、Tutor Periniのような重機系重仮設に強いゼネコンへの需要が集中する構図だ。

さらに注目すべきはデータセンター需要の急膨張だ。AIインフラ投資を背景に、米国内では大規模データセンターの建設ラッシュが続いている。Tutor Periniはこれを「スペシャリティ工事の延長線上」として捉え、参入を検討中だ。スモーリーCEOは「コア市場を手放さない前提で拡張を探っている。データセンター工事は5年後か10年後には現在ほどの勢いではなくなる可能性がある」とリスクも正直に語っており、慎重かつ戦略的なスタンスが際立つ。建設コストの上昇と工期リスクを熟知したゼネコン経営者らしい発言といえる。

日本の建設機械業界・建設会社への影響

Tutor Periniの動向は、日本企業にとっても複数の観点で無視できない。第一に、機械調達の競合激化だ。同社が手がけるハドソントンネルやペンステーション再開発では、大型クレーン・大口径掘削機・油圧ショベルなどの重機が大量に必要になる。コマツやヒタチ建機が北米市場に供給する建設機械の需要増は明確であり、調達リードタイムの長期化や価格上昇圧力につながりうる。

第二に、ICT建機・テレマティクスの普及加速だ。超大型インフラ工事では施工効率と安全管理の高度化が不可欠であり、自動化・建設DXへの投資が米国でも急拡大している。日本メーカーがリードするICT建機や機械制御技術のグローバル需要が高まれば、輸出・現地生産の双方でビジネスチャンスが広がる。

第三はデータセンター建設の国内動向だ。米国同様、日本でも大規模データセンターの建設投資が増加しており、地盤改良・基礎工事・電気設備工事を得意とするゼネコンやサブコンにとって重要な新市場になりつつある。環境対応・電動化建機の採用が求められる案件も増えており、業界全体の技術底上げにつながる流れだ。

今後の展望と注目ポイント

今後3〜5年の視点では、米国メガプロジェクト群の本格施工フェーズが重機需要の強力なエンジンになる。特に2026年6月に入札結果が出るI-535ラトニック橋梁、および年内入札予定のカリフォルニア高速鉄道追加区間は、落札結果次第でTutor Periniの受注残がさらに膨らむ可能性がある。一方で、建設コストの高止まりと労務費上昇、地政学的リスクに伴うサプライチェーン混乱も続く見通しだ。データセンター工事との兼業が土木大手に広がるかどうかも、今後の業界再編を左右するキーポイントになる。日本企業は、北米における建設機械の需給動向と価格変動を注視しながら、調達戦略の見直しを検討する好機だ。

よくある質問(FAQ)

Q: Tutor Periniとはどんな会社ですか?日本企業との関係は?

A: ロサンゼルス本拠の米国大手重仮設・土木ゼネコンで、大型橋梁・トンネル・地下鉄工事を得意とします。コマツやヒタチ建機製の重機を北米で大量採用しており、同社の受注動向は日本メーカーの北米販売にも直接影響します。

Q: ハドソントンネルプロジェクトとはどのような工事ですか?

A: ニュージャージー州とニューヨーク市を結ぶ鉄道トンネルの新設工事で、総事業費約160億ドル(約2.4兆円)の超大型インフラ工事です。老朽化した既存トンネルの代替として、米国東海岸の交通網を支える重要プロジェクトです。

Q: 米国のデータセンター建設ラッシュは日本の建設業にも影響しますか?

A: 直接的な影響はあります。北米での重機需要増はコマツ・ヒタチ建機の生産・供給に影響し、国内向け建設機械の納期や価格にも波及する可能性があります。また日本国内でも同様のデータセンター建設需要が拡大しており、ICT建機や電動化建機の採用が加速しています。

まとめ

Tutor Periniの198億ドル受注残とメガプロジェクト攻勢は、米国インフラ工事の本格化と重機需要の急拡大を象徴する。建設コスト・施工効率・安全管理の観点から、日本の建設業界にも確実に波及するトレンドだ。北米市場の動向や最新の建設機械情報は、kenki-pro.comで随時チェックしてほしい。

出典:Tutor Perini eyes data center opportunities