地政学リスクとエネルギー価格高騰が世界の建設業を直撃するなか、スウェーデン大手ゼネコン・スカンスカが2026年第1四半期もインフラ工事で安定成長を維持した。その戦略は、日本の建設会社や重機導入担当者にも示唆を与える。

スカンスカQ1決算:米国インフラ&データセンターで収益を死守

2026年5月8日、スカンスカは2026年第1四半期(1〜3月)の決算を発表した。スウェーデン本社を持つ同社は、世界有数の総合建設グループとして知られる。今回の決算では、特に米国市場でのインフラ工事とデータセンター建設が業績を牽引した形だ。

第1四半期は「イラン戦争」の開戦という地政学的大波が直撃したタイミングでもある。しかし同社CFOのポントゥス・ウィンクヴィスト氏は、「コスト面の影響は現時点では燃料にほぼ限定されており、資材全体への波及は確認されていない」と明言した。「一部の資材に希少性はあるか? 今のところ見られない。ただ、先行きには謙虚でなければならない」とも語り、楽観と慎重のバランスを意識した発言が目立つ。

原油価格の高騰は、アスファルト原料や配管用プラスチックなどインフラ工事に不可欠な資材コストを中長期的に押し上げる懸念がある。スカンスカはこのリスクの一部をサブコン(下請け業者)やクライアントに転嫁する契約形態を採用しており、「利益への大きな影響はない」とウィンクヴィスト氏は強調した。

なぜ今、米国インフラ工事が注目されるのか

米国では、インフラ投資雇用法(Infrastructure Investment and Jobs Act)が2026年9月に認可期限を迎える。この法律は総額約1.2兆ドル(約180兆円)規模の公共インフラ整備を後押ししてきたが、期限切れに伴い新たな道路法案の策定を求める声が業界全体で高まっている。

スカンスカは道路・橋梁などの大規模インフラ案件への需要が引き続き旺盛であると見ており、新法案の成立にも強い期待を示した。実際、同社は米国で複数の大型インフラ工事を受注済みであり、重機の稼働台数や建設リソースの確保を先回りで進めているとみられる。

一方で、データセンター建設市場も急拡大している。AIインフラへの投資加速を背景に、米国内の大規模データセンター新設ラッシュが続いている。スカンスカはこの成長市場にも積極的にリソースを振り向け、インフラ工事と並ぶ収益柱として位置付けている。特に電力設備や基礎工事など、重機を大量投入する工程での強みが光る。

日本の建設会社・重機業界への影響と示唆

スカンスカの戦略は、日本の建設業にとって他人事ではない。国内ゼネコン大手も海外建設プロジェクトへの依存度を高めており、同様の地政学リスクやエネルギーコスト上昇に直面している。

まず、コストリスクの分散という観点では、スカンスカが実践する「サブコンやクライアントへのリスク転嫁」モデルが参考になる。日本の現場では依然として元請けがコストリスクを抱え込む商習慣が根強いが、価格変動リスクを契約条件に明示する動きは国内でも加速しつつある。インフラ工事の長期案件では特に有効だ。

次に、重機の調達戦略にも影響が出る。原油高はディーゼル動力の建設機械の運用コストを直接押し上げる。この点で、コマツや日立建機が推進する電動建設機械やハイブリッド重機への関心は今後さらに高まるだろう。テレマティクスを活用した稼働管理で燃費を最適化する建設DXの取り組みも、現場レベルでの対応策として重要性を増している。

購買担当者の視点では、アスファルト・配管材などインフラ資材の調達価格が中長期で上昇するリスクを織り込んだ見積もり・発注計画の見直しが急務だ。スカンスカのように先物ヘッジや長期供給契約といった手法を取り入れる動きが、日本の大手建設会社でも広がる可能性がある。

今後3〜5年の展望と注目ポイント

短期的には、米国の新道路法案の行方が最大の注目点だ。法案が成立すれば、大規模インフラ工事への投資が継続・拡大し、油圧ショベルやブルドーザー、クレーンなどの重機需要が北米で一段と高まる。

中長期的には、データセンター建設の拡大がインフラ工事と並走する形でゼネコン各社の収益を支える柱になる。AIとクラウドへの投資加速は構造的なトレンドであり、建設需要の下支えとして少なくとも2030年代前半まで続くとみる専門家が多い。

また、脱炭素対応も無視できない。電動建設機械の普及やICT建機の活用は、環境規制が厳しい欧米市場での受注競争力に直結する。スカンスカのような欧州系ゼネコンが先行して取り組むこの流れに、日本の建設会社と重機メーカーがどう追随するかが競合優位性を左右する。

よくある質問(FAQ)

Q: スカンスカとはどんな建設会社ですか?

A: スウェーデンを本拠とする世界有数の総合ゼネコンです。北米・欧州を中心にインフラ工事、商業施設、住宅開発など幅広い建設プロジェクトを手掛け、売上規模は年間数兆円に達します。

Q: 原油価格の高騰は建設コストにどう影響しますか?

A: 燃料費の上昇に加え、アスファルト原料や配管用プラスチックなどの資材価格が連動して上昇しやすくなります。重機の稼働コストも増加するため、インフラ工事の採算管理がより重要になります。

Q: 米国のインフラ投資法(IIJA)の期限切れは日本企業にも影響しますか?

A: 直接的な影響は限定的ですが、北米で建設機械を販売・リースする日本の重機メーカーにとっては需要動向に直結します。新法案の成立いかんで、現地での建設機械の受注量が大きく変わる可能性があります。

まとめ

スカンスカの2026年Q1決算は、地政学リスクとコスト変動をリスク分散契約と市場選択で乗り越える実例として建設業界全体に示唆を与える。電動建設機械の普及やテレマティクス活用など最新の重機トレンドは、kenki-pro.comで随時更新中だ。インフラ工事と建設機械の動向を継続的にチェックしてほしい。

出典:Skanska says its work unimpacted by major economic headwinds