北欧建設大手スカンスカ(Skanska)が、スウェーデンと米国で合計4件、総額14億ドルを超える大規模インフラ契約を相次いで獲得した。その構造と国内建設業界へのインパクトを読み解く。

📌 この記事のポイント

  • スカンスカが2026年5月、米国・スウェーデンで計4件・総額14億ドル超の契約を締結。うち米マサチューセッツ湾交通局(MBTA)との設計施工(D&B)契約は単独10億ドル規模
  • 設計施工一括発注(D&B)方式の大型採用は、発注者がコスト管理と工期短縮を同時に求めているサインだ。日本の公共調達にも波及しうる潮流
  • 北米インフラ投資の拡大局面で、受注競争に勝ち抜くための技術力・資本力の組み合わせが問われる——日本ゼネコンの海外展開戦略を再点検する機会
海外建設プロジェクト インフラ工事(写真提供:652234 / Pixabay)
海外建設プロジェクト インフラ工事(写真提供:652234 / Pixabay)

10億ドルのMBTA契約——スカンスカが勝ち取った案件の全貌

核心から入ろう。スカンスカが今回獲得した最大案件は、米マサチューセッツ湾交通局(Massachusetts Bay Transportation Authority=MBTA)との設計施工(Design & Build)契約で、金額は10億ドルだ。

残り3件はスウェーデン国内で2件、米国でさらに1件。4件合計で14億ドルを超える受注総額になる。単一四半期にこれだけの案件を積み上げるのは、欧米建設業界でもそう頻繁にある話ではない。スカンスカのような大手であっても、案件の質・量ともにインパクトのある動きだ。

専門家目線で言えば、最も注目すべきは「設計施工一括発注」という契約形態だ。発注者であるMBTAが設計段階から施工者を巻き込む方式を選んだという事実は、単なる調達手法の話ではない。コスト超過と工期遅延に悩む公共交通インフラの発注者が、リスクをゼネコン側に移転しつつ、設計・施工の連携によって施工効率を最大化しようとしている意図が透けて見える。この構図は世界共通だ。

なぜ今、北米・北欧で大型インフラ受注が集中するのか

米国では2021年のインフラ投資雇用法(IIJA)以降、道路・橋梁・公共交通への連邦資金が継続的に供給されてきた。工期が迫るプロジェクトが各地で動き出し、施工能力を持つ大手ゼネコンへの引き合いは依然強い。スカンスカはこの波に乗る形で北米でのポジションを固めてきた企業だ。

スウェーデン国内の2件についても背景は明快だ。北欧各国は老朽化した交通・エネルギーインフラの更新を国家課題として位置付けており、大型公共工事の発注が継続している。地元大手のスカンスカが優位なのは当然としても、複数案件を同時受注できる体制——資本力、技術者の確保、建設機械・重機の調達ルート——がなければ実現しない。

実はここが厄介で、欧米の大手ゼネコンと日本のゼネコンの差が最も開きやすいポイントでもある。鹿島や大成建設も北米・欧州で存在感を示しているが、単一案件の規模感と受注サイクルの速度という点では、まだ埋まりきっていないギャップがある。

変わる海外建設の勝ち筋——日本ゼネコンへの示唆

問題はここだ。スカンスカが示しているのは、「技術力があれば受注できる」時代から「設計・施工・コスト管理を一体で提案できる組織力」が問われる時代への移行だ。

日本の建設業界に引き付けて考えると、大成建設・鹿島・清水建設といった大手ゼネコンは海外事業を拡大しているものの、海外建設プロジェクトにおける設計施工一括型(D&B)の受注体制はまだ整備途上のケースも多い。国内では設計分離発注が主流のため、D&Bで求められる意思決定の速さや設計変更リスクの引き受け方に慣れていない組織文化がある。

一方、重機・建設機械の側面から見ると、コマツや日立建機が供給するICT建機・テレマティクス搭載機の活用は、大規模インフラ現場での施工効率を左右する武器になりうる。スカンスカのような発注者・施工者が建設DXに積極的な欧米市場では、日本メーカーの技術力を活かした差別化の余地が生まれている。ここを戦略的に突けるかどうかが、今後の競争力を決める。

調達担当者の視点でも確認しておきたい。欧米大手が大型案件を次々と押さえるということは、グローバルな油圧ショベル・クレーン・ブルドーザー等の重機需要が底堅いことを意味する。納期リスクや建設コストへの影響は、資材・機材の調達計画に直結する話として捉えてほしい。

よくある質問

Q: スカンスカ(Skanska)はどんな建設会社ですか?日本企業との関係は?

A: スカンスカはスウェーデン本社の世界大手ゼネコンで、北欧・北米・欧州を中心に土木・建築・開発事業を展開します。日本国内での事業展開はありませんが、国際競争市場で日本の大手ゼネコン(鹿島・大成・清水等)と受注を競う関係にあります。

Q: 設計施工一括(Design & Build)契約は日本の公共工事でも使われていますか?

A: 日本では設計施工分離発注が主流ですが、国土交通省はPFI・DB・DBO方式の活用を推進しており、大規模インフラや空港・港湾案件で採用が広がっています。ただし欧米に比べると普及率はまだ低い水準です。

Q: 北米インフラ投資の拡大は日本の建設機械メーカーにとってプラスですか?

A: プラス要因です。北米インフラ工事の拡大は油圧ショベル・クレーン・ブルドーザー等の需要増に直結します。コマツ・日立建機はいずれも北米市場で重要な販売拠点を持っており、大型案件の稼働増は機械稼働率・部品需要の押し上げ効果をもたらします。

まとめ

スカンスカによる総額14億ドル超・4件同時受注は、北米・北欧のインフラ投資が依然旺盛であることの証左だ。設計施工一括型の大型案件が増える流れは、日本ゼネコンの海外戦略と調達体制の見直しを迫る。建設機械・ICT建機の需要動向を含め、最新の海外建設プロジェクト情報はkenki-pro.comで継続的にお届けする。

出典:Skanska lands four contracts worth $1.4bn in Sweden and the US