2028年ロサンゼルス五輪を見据えた大型インフラ工事が、カリフォルニア州で本格的に動き出した。128年ぶりにオリンピック競技へ復帰するクリケットの競技場建設が着工し、建設業界の注目を集めている。

カリフォルニア州ポモナで着工——収容15,000人のクリケット競技場建設が本格始動

工事が始まったのは、ロサンゼルス中心部から東へ約50kmに位置するポモナ市のフェアプレックス・イベントキャンパスだ。同地は100年以上の歴史を持つLAカウンティフェアの会場として知られる。2026年4月に地鎮祭が行われ、重機が本格稼働を開始した。

完成時の収容人数は15,000人を予定しており、段階的な施工フェーズを採用している点が特徴的だ。まず5,000人収容の第1フェーズ、続いて8,500人収容の第2フェーズを経て、最終的に満席15,000人規模へと拡張していく計画となっている。この「段階的完成方式」は、工事現場の効率管理と予算執行の最適化を両立させる手法として、近年の大型スポーツ施設建設で採用が広がっている。

2028年の競技日程は7月14日から30日まで。男女それぞれ6チームが参加し、各トーナメントに90名の選手枠が割り当てられる。また本施設はLAナイトライダーズのホームグラウンドとして、五輪後も地元プロチームの本拠地として継続活用される予定だ。施設の恒久的利用が見込まれることで、建設投資の回収見通しは良好と言える。

なぜ今クリケットスタジアムなのか——世界第2位の競技人気が建設需要を動かす

クリケットは世界で2番目に視聴者数が多いスポーツだ。しかし、オリンピックへの参加は1900年パリ大会(イギリス対フランスの2日間マッチ)以来、実に128年間途絶えていた。国際クリケット評議会(ICC)のジェイ・シャー会長は「クリケットがグローバルスポーツとして確立する大きな一歩」と表現し、五輪参加の歴史的意義を強調している。

こうした背景が、建設業界に直接的な需要を生み出している。アメリカ国内にはクリケット専用のオリンピック規格施設がほぼ存在しなかったため、今回は事実上のゼロからの建設だ。一方で、フェアプレックスという既存インフラを活用することで、用地取得コストや造成工事の工数を大幅に削減できている。既存施設の転用・改修という視点は、近年の海外建設プロジェクトにおけるコスト最適化の典型例として参考になる。

さらに、LA28大会は「ノービルド(新規建設ゼロ)」を基本方針に掲げていたが、クリケット施設については例外的に新設が認められた経緯がある。それだけこの競技の五輪復帰に対する期待と市場規模への評価が高いということだ。大会全体の建設投資規模は数十億ドル規模に達するとみられており、関連する工事現場の活況は2027年末まで続く見通しだ。

日本の建設機械業界・建設会社への影響——LA五輪関連工事の商機と輸出動向

LA五輪関連インフラ工事の拡大は、日本の建設機械メーカーにとって見逃せない市場機会だ。コマツ・日立建機・住友建機といった主要メーカーは北米市場でシェアを持っており、大型スタジアム建設に不可欠な油圧ショベルやブルドーザー、クレーンなどの需要増が見込まれる。特に油圧ショベルは掘削・整地・基礎工事の各フェーズで継続的に稼働するため、長期的なレンタル需要が発生しやすい。

また、ICT建機や建設DXの観点でも注目点がある。LA28の工事現場では施工効率と安全管理の両立が求められており、テレマティクス搭載機やGPS連動の自動化重機の活用が進む可能性が高い。日本メーカーが得意とするICT施工技術は、アメリカの大型プロジェクトとの親和性が高く、技術輸出の足がかりになり得る。

一方、日本国内の建設会社にとっては間接的な示唆が大きい。段階的施工フェーズの採用、既存施設インフラの有効活用、恒久利用を前提とした施設設計——これらはいずれも国内の大型公共施設建設でも応用できる手法だ。施工効率と建設コストの最適化を図る上で、LA五輪プロジェクトの事例は具体的なベンチマークとなる。購買担当者にとっても、北米向け建設機械の価格動向や調達リスクを把握する上で、このプロジェクトの進捗は指標となる。

今後の展望と注目ポイント——2028年に向けた建設フェーズのスケジュールと業界トレンド

今後3年間、ポモナのクリケット競技場工事は段階的に進む。2026年後半には第1フェーズの躯体工事が本格化し、2027年には設備・内装工事が進行、2028年前半の引渡しを目指す流れだ。各フェーズの完了タイミングが建設機械の稼働スケジュールに直結するため、機材調達の担当者は早期に動向を把握しておきたい。

また、電動化・環境対応の潮流も見逃せない。カリフォルニア州は環境規制が特に厳しく、工事現場での電動建機やハイブリッド重機の導入比率が他州より高い。この傾向はLA五輪関連の全工事現場に共通しており、電動化対応機の需要が短期間で急増する可能性がある。日本メーカーが電動油圧ショベルや電動ホイールローダーのラインナップを強化している今がちょうどタイミングと重なっており、北米市場でのプレゼンス拡大の好機だ。

よくある質問(FAQ)

Q: LA五輪のクリケット競技場はいつ完成する予定ですか?

A: 競技日程が2028年7月14日〜30日のため、2028年上半期中の完成が目標です。段階的施工により、まず5,000人収容フェーズから順次規模を拡大し、最終的に15,000人収容の施設が完成します。

Q: LA28オリンピックの建設工事には日本の建設機械が使われますか?

A: コマツ・日立建機・住友建機は北米市場でシェアを持っており、LA五輪関連の工事現場でも油圧ショベルやクレーンなど日本製重機が活用される可能性は十分にあります。特にICT建機の需要が高まると見込まれています。

Q: クリケットが128年ぶりにオリンピックに復帰する理由は何ですか?

A: クリケットは世界で2番目に視聴者数が多い競技であり、ICCがグローバル競技としての普及を推進してきた結果、IOCがLA28大会での採用を承認しました。競技の商業的価値と世界的人気が復帰を後押しした形です。

まとめ

128年ぶりのオリンピック復帰に向け、カリフォルニア州ポモナで収容15,000人のクリケット競技場建設が本格着工した。段階的施工・既存施設活用・恒久利用設計という手法は、国内外の大型インフラ工事にも応用できる視点だ。北米市場の建設機械需要や施工効率・環境対応の最新トレンドは、kenki-pro.comで継続的にチェックしてほしい。

出典:Work starts on California’s Olympic cricket stadium, marking return of the sport after 128 years