2028年ロサンゼルス五輪に向けた大型インフラ工事が本格始動した。カリフォルニア州ポモナで着工したクリケットスタジアムは、128年ぶりとなる五輪競技復活の舞台となる注目プロジェクトだ。

収容1万5,000人──ポモナに誕生するクリケット専用スタジアムの全容

ロサンゼルス中心部から東へ約50kmに位置するポモナ市。その地に、2028年夏季五輪のクリケット競技会場となる新スタジアムの建設が動き出した。完成時の収容人数は1万5,000席。一気に最終規模へ仕上げるのではなく、まず5,000席、次いで8,500席と段階的に拡張するフェーズ方式を採用している点が、この工事の大きな特徴だ。

建設地として選ばれたのは、100年以上にわたってLAカウンティフェアの会場を務めてきた「フェアプレックス」敷地内。既存インフラを活用しつつ、競技専用施設としての機能を新たに整備する。完成後はプロチーム「LAナイトライダーズ」のホームグラウンドとしても使用される予定で、五輪後の施設活用計画も明確に設定されている。工事現場では現在、基礎工事や造成を中心に油圧ショベルやブルドーザーが稼働しており、本格的な重機投入フェーズへと移行しつつある。五輪競技は2028年7月14日から30日に開催予定だ。

なぜ今クリケットが五輪に復活するのか──グローバル市場拡大の背景

クリケットが五輪に姿を見せたのは、1900年のパリ大会が最後だった。イギリスとフランスが2日間の試合を行ったその一度きりの出場から、実に128年が経過する。では、なぜ2028年に復活するのか。

背景にあるのは、クリケットの圧倒的なグローバル人気だ。世界で2番目に視聴者数が多いスポーツとされており、南アジアや英連邦諸国を中心に数十億人規模のファンを抱える。国際クリケット評議会(ICC)のジェイ・シャー会長は「クリケットがグローバルスポーツとして確立するための大きな一歩」と表現し、五輪参加への意欲を明確に示した。男女各6チーム・90選手が参加する形式で、各国は15人のスカッドを組める。

さらに、LA28組織委員会がレンタル機材プロバイダーの活用方針を打ち出しているように、五輪関連工事全体で調達コストの最適化が進む。新設・仮設を組み合わせた施設整備の考え方は、今後の大規模スポーツイベント向け建設プロジェクトの一つのモデルになる可能性が高い。

日本の建設機械業界・建設会社への影響

米国でのLA五輪関連インフラ工事は、日本の建設業界にとって複数の観点で注目すべき動向を含んでいる。

まず、建設機械の需要面だ。大型スタジアム建設には油圧ショベル・クレーン・ホイールローダーなど多様な重機が必要となる。コマツやヒタチ建機をはじめとする日本メーカーは米国市場で高いシェアを持っており、五輪需要が北米向け建設機械の販売・レンタル市場を下支えする要因になり得る。直近では北米向け建機出荷台数が堅調に推移しており、この流れとの相乗効果も期待される。

また、施工技術の観点でも見逃せない。段階的な収容規模の拡張を前提とした設計・施工計画は、仮設構造と本設構造を組み合わせる高度なプロジェクトマネジメントを要求する。建設DXの文脈では、ICT建機を活用した施工管理や、テレマティクスによるリアルタイムの稼働管理が大型イベント施設工事でも標準化されつつある点を、日本の現場監督・購買担当者はしっかり把握しておきたい。

さらに、環境対応への要求も高まっている。カリフォルニア州は電動建機の導入規制が全米で最も厳しい地域の一つ。海外建設プロジェクトへの参入を検討する日本企業にとって、電動化・低排出型建機の対応状況が受注競争力に直結するケースが増えている。

今後の展望と注目ポイント

2026年から2028年にかけて、LA五輪関連の建設工事は本格的なピークを迎える。クリケットスタジアム以外にも、LAX周辺の道路整備(FlatironDragados・Skanska受注)など複数のインフラプロジェクトが並走する形で進む。

注目すべきは、五輪後の施設活用計画が当初から組み込まれている点だ。LAナイトライダーズのホームグラウンドとして継続活用されることで、建設投資の長期的な回収が見込める。この「建てて終わり」にしない施設計画の考え方は、日本国内でも老朽化する競技施設の改修・更新需要と絡めて参考になる。また、段階整備のフェーズ管理や、仮設重機の調達戦略といった実務的な知見は、今後の国内大型工事にも応用できる視点を与えてくれる。

よくある質問(FAQ)

Q: LA2028五輪のクリケットスタジアムはどこに建設されますか?

A: ロサンゼルス中心部から東へ約50kmのカリフォルニア州ポモナ市、フェアプレックス敷地内に建設されます。完成時の収容人数は1万5,000席で、段階的に拡張されます。

Q: クリケットが五輪に登場するのはなぜ128年ぶりなのですか?

A: クリケットが最後に五輪に登場したのは1900年のパリ大会。その後は種目から外れ続け、IATFのグローバル普及推進を受けてLA2028で128年ぶりに競技復活が実現しました。

Q: このスタジアム建設が日本の建設機械メーカーに与える影響は?

A: 北米市場での油圧ショベルやクレーンなど重機需要の押し上げ要因になります。また、カリフォルニア州の電動建機規制対応が日本メーカーの現地競争力を左右する重要課題です。

まとめ

LA2028五輪に向けたクリケットスタジアムの着工は、大型スポーツインフラ工事の新しい潮流を示す象徴的なプロジェクトだ。段階整備・施設の長期活用・電動建機対応という三つの視点は、日本の建設業界にとっても実践的な示唆を持つ。最新の建設機械動向や海外建設プロジェクトの情報は、kenki-pro.comで随時更新中だ。ぜひブックマークして継続的に活用してほしい。

出典:Work starts on California’s Olympic cricket stadium, marking return of the sport after 128 years