
ゴムクローラーとゴムパッドはどっちがお得?|5つの軸で選び分ける
同じ重機でゴムクローラー仕様にするか、鉄キャタ+ゴムパッド仕様にするかを迷われた経験はございませんか?
どちらが優れているかという話ではありません。よく行かれる現場の性格によって、正解が入れ替わります。
よく行かれる現場の状況によりゴムクローラーとゴムパッドを適切に選び買う事でコストパフォーマンスを高める事が可能です。
ゴムクローラーとゴムパッド、5つの軸で比較する
どちらも一長一短、メリットデメリットがあります。
どれを優先し、どれを犠牲にするか。
トレードオフの関係をよく見極める事で仕事効率やコスト面での優位性を保つことが可能です。
それぞれ条件を挙げてみましたので、ゴムクローラーやゴムパッドを買う時の判断基準にしてみてください。
1. 壊れたときにいくらかかるか
コストを重要視するかメンテナンスの楽ちんさのどちらを選ぶかが第一の選択になります。
まずコスト面からみていきますとゴムパッドの方は破損してもパッドをいくつか交換する程度なので数千円や数万円程度。
一方ゴムクローラーは、1か所でも切れてしまえば1本まるごとの交換です。弊社の販売価格でいえば3t級で1本6万円前後、7〜8t級になると1本17万円前後。これが左右2本ですから、出費としては小さくありません。
コスト面を考えた場合は圧倒的にゴムパッド有利です。
この「部分交換か、全体交換か」という違いが、鉄キャタ+ゴムパッドの一番わかりやすい強みです。鉄履帯そのものもリンク単位で組み替えができます。
メンテナンス面での手間暇をコスト換算した場合はどうでしょうか。
ゴムパッドはボルトで鉄シューに留めるタイプが主流で、パッド1枚あたり2本または4本。機体の大きさによっては1台で数百本という本数になります。
これを取り付け後のなじみが出たタイミングと、定期点検のたびに緩みがないか見ていくわけです。締付トルクはメーカー指定に従ってください。1本の緩みを放置すると周囲のパッドに荷重が寄って、そこから連鎖的に傷みます。
正直、面倒な作業です。ただしゴムパッドはゴムクローラーより硬い配合で作られていて、寿命そのものはゴムクローラーの2〜3倍もつと言われています。手間と引き換えに交換サイクルが伸びる、という関係です。
ちなみにレンタル会社の保有機はゴムクローラー装着車が目立ちます。理由を公表している会社は見当たりませんが、不特定多数の現場へ貸し出す前提なら、洗って張りを見る程度で済むゴムクローラーのほうが管理しやすい。そういう事情だろうと推測しています。
解体業・林業・河川治水工事・災害復旧など絶対に現場で破損は避けたい過酷でハードな現場はゴムパッド×鉄キャタを選択し、一般的な管工事、道路舗装、造園など比較的低リスクな建設業者さまはゴムクローラーを選ぶといいと思います。
2. 近隣への騒音配慮か、作業の安定感か
これも一番目と同じような現場・業種分けになると思います。
住宅地での道路工事や軽作業では騒音が小さめなゴムクローラー装着車を選び、一か所に留まって数日間解体作業を行ったり足場の悪い斜面などで作業を行う場合はゴムパッド×鉄キャタがお勧めです。
ゴムパッドを履かせれば鉄シューのまま走るより静かにはなりますが、ゴムクローラーほどではありません。鉄履帯そのものの金属音と振動はキャビンにも伝わります。1日中乗るオペレーターの疲労という点では、ゴムクローラーに分があります。
3. 脱輪(デトラック)のリスク
狭い現場でその場旋回(スピンターン)を多用する、あるいは旋回しないと段取りが回らないという条件では、ゴムクローラーの脱輪リスクが上がります。
ゴムパッド×鉄キャタは構造上、脱輪に強くハードな現場での信頼度が高まりますのでお勧めいたします。
ゴムクローラーが外れる原因は、たいてい単独ではありません。張りの不足、スプロケットの摩耗、芯金の摩耗、アイドラの縦揺れ。このあたりが重なったところに、急旋回や縁石への乗り上げが加わって外れます。
逆に言えば、ゴムクローラーでも張り調整と足回りの点検を欠かさなければ脱輪はかなり防げます。転輪の下に10〜15mm程度の遊びがあるのが適正とされますが、機種で違いますので取扱説明書の数値に従ってください。
4. 重量と回送のこと
見落とされがちですが、鉄キャタは重いです。機体重量が上がれば、そのぶん回送トラックの積載区分や必要な免許が変わってくることがあります。ミニクラスで積載ぎりぎりの運用をされている会社さんは、ここが効いてきます。
5. 路面を傷めるかどうか、滑りやすさ
アスファルトやコンクリートの上を走るなら、路面を傷めにくいゴムクローラーが無難です。鉄シューは舗装を確実に傷めますので、パッドは実質的に必須になります。
ただしどちらも万能ではありません。ゴムクローラーは濡れた鉄板や斜面で滑りやすく、ゴムパッドもぬかるんだ傾斜地ではグリップが落ちます。素の鉄シューが一番食いつくのは確かですが、それは舗装のない現場に限った話です。
それでも街で見かけるのはゴムクローラーばかり
メンテナンス性を除けばゴムパッド×鉄キャタの方が剛健で信頼度も高く値段も安いのでいい感じに映るかもしれません。
しかし下記の理由でゴムクローラーが優位なのも事実です。
・管理やメンテンナンスの手間暇
・運ぶトラックの積載量や免許の問題
・乗り心地
・最近のゴムクローラーは千切れにくい
こういった理由から、よっぽどの現場でない限りゴムクローラー装着車が多い事も事実です。
そもそもゴムクローラーが世に出たのは、鉄クローラーの騒音・振動・路面の傷つきを解決するためでした。1980年代に国産の建機用ゴムクローラーが実用化されてから、小型機の足回りは一気にゴムへ移っています。街なかで見かける機械がゴムクローラーばかりなのは、その延長線上にあります。
よくある質問
ゴムクローラーの寿命はどれくらいですか?
販売店やメディアでは稼働1,500〜2,000時間、年数にして4〜6年あたりが目安とされています。ただしこれはメーカーの保証値ではありませんし、実際には寿命を迎える前に芯金の脱落や切断で交換になるケースのほうが多いです。時間で管理するより、芯金の露出やひび割れ、ラグの減りを見て判断してください。
ゴムパッドのボルトはどのくらいの頻度で締め直せばいいですか?
「何時間ごと」という公式な基準は見当たりません。取り付け直後のなじみが出た頃に一度、あとは日常点検や足回りの点検のたびに確認する、という運用が現実的です。締付トルクは機種のメーカー指定に従ってください。
ゴムクローラーのサイズはどう調べればいいですか?
「幅 × ピッチ × リンク数」の3つで決まります。幅は接地面の実測、ピッチは芯金の中心から隣の芯金の中心まで、リンク数は一周の芯金の個数です。同じ型式でも複数のサイズ設定があることが珍しくありませんので、型式だけで注文するのは避けてください。刻印が読めない場合は実測をお願いします。
まとめ
いつもいく現場、コスト、その他色々な要因を比較検討出来たかと思います。
あなたさまはどちらの方が自社や自分に合っていそうですか?
判断に迷ったときは、「破損したら現場が何日止まるか」を基準にしてみてください。止まって困る度合いが大きいほど鉄キャタ+ゴムパッド、機動性と静かさを取るならゴムクローラー。おおむねこの線引きで外れません。
ゴムクローラーとゴムパッドの通販専門店、建機プロショップでは購入前にご相談が可能です。
初めての利用で不安な事があったり、サイズや質感で分からない事があればお気軽にご連絡ください。
弊社は重機修理を本業とする彩重機エンジニアリングが運営しています。部品だけを売っている会社ではありませんので、「そもそもこの現場ならどちらを履かせるべきか」というところからご相談いただけます。